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研究テーマ

分子生物物理学研究室で現在進めている主な研究テーマ

タンパク質の動的構造特性の解析を通して,タンパク質構造の揺らぎが持つ機能上の役割を解明します.
 新規構造解析技術の開発を基盤として,独自の研究を展開を進める点に本研究室で進める研究の特徴があります.

高分子量タンパク質の分子形態変化を観測するNMR技術開発

DIORITE (Determination of the Induced ORIentation by Trosy Experiments)とよぶ新規NMR構造解析技術開発.

従来のNMR構造解析技術では解析ができない高分子量タンパク質を対象としてドメイン間相対配向変化などを定量的に解析するNMR技術の開発.

右の図はmaltose binding protein (MBP)を対象として,DIORITE法でmaltose結合型構造を決定した例.NMRのみを用いてapo-型の結晶構造を基にしてmaltose結合型構造を決定した.DIORITE法で決定した構造は,結晶構造解析で得られたmaltose結合型構造をよく再現した.

原理的には100 kDaを超えるタンパク質であってもドメイン間相対配向,およびドメイン間の配向ダイナミックスを決定することができる.
 解析技術の高度化を進めつつ,膜タンパク質,核内受容体など,従来のNMR技術では構造解析が困難であるタンパク質を対象として応用研究を進めている.

タンパク質構造に内在する協調的内部運動による機能制御

NMRスピン緩和解析からは,タンパク質構造に内在する様々な時間域における運動性を定量的に解析することができる.

ジヒドロ葉酸還元酵素DHFRを対象としてアミノ酸変異により変化する酵素活性とタンパク質構造に内在する協調的運動の変化との相関を解析する.
 独自に作成したスペクトル解析・緩和解析システムを用いて定量的にmsec領域からpsec時間域までの構造揺らぎを解析する.

タンパク質構造に内在する揺らぎの変化が,酵素反応速度の変調に関係していることを明らかにしている.さらに,複数のアミノ酸変異による影響を解析して,構造揺らぎと機能との相関を明らかにする.

安定な立体構造を持たない部位によるタンパク質機能制御

タンパク質構造中には安定な立体構造を保持しない部位が多く存在する.特殊なアミノ酸配列によって特徴づけられるこのような部位はID領域(intrinsically disordered region)と呼ばれる.

ID領域は,タンパク質間相互作用部位など細胞内反応制御に重要な役割を持つ部分に多く見つかり,その構造上の特性と機能制御の関係に興味が持たれている.

私たちは,ID領域をもつ複数のタンパク質を対象として,それぞれのタンパク質においてID領域が異なった機構を通して機能制御に関与することをNMRを用いて解析してきた.上の図では,タンパク質のnucleosomeに対する結合能が,リン酸化数に応じて変化する機構を明らかにした例を示している.
 DIORITE法を応用した,さらに定量的なID領域の構造ダイナミックスと機能制御の関係を解明する研究を進めている.

酸化LDL受容体タンパク質LOX-1の構造機能解析

動脈硬化は,日本人の死因の2,3位を占める血管病の原因となる生活習慣病である.私たちは,血管内皮細胞上に存在する主要な酸化LDL受容体であるLOX-1の立体構造を世界にさきがけて明らかにした.

動脈硬化の発症を誘導する原因物質は,コレステロールキャリアーであるLDLが酸化されて生じる酸化LDLであると考えられている.従って,LOX-1は酸化LDLと結合することで動脈硬化発症のトリガーを引く受容体である.どのようにしてLOX-1は酸化LDLと結合するのかを明らかにすることは,動脈硬化発症予防のための薬の開発など重要な応用研究につながる.
 私たちは,NMRのみならず,さまざまな研究手法を用いてLOX-1の酸化LDL認識機構を解明してきている.近年LOX-1は,細胞内タンパク質とも結合して免疫系の活性化につながることが明らかになってきている.細胞から放出されたタンパク質をどのようにLOX-1が認識して免疫系の活性化につながるかについて研究を進めている.

深海微生物由来酵素の耐圧機構の解明

深海は低温(1〜4℃),高圧(〜1,000気圧)の極限環境であるが,そこにも多種多様な微生物が成育している.これらの微生物の体内は外界と同じ温度と圧力になっているため,これらの微生物が産生する酵素は低温・高圧条件下で機能を発現するための耐性機構をそれ自体有していると考えられる.このうち特に耐圧機構に注目し,これを分子論的に解明することを目指して研究を進めている.

ジヒドロ葉酸還元酵素の構造・安定性・機能相関の研究

ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)は,核酸塩基の生合成に必要なため,遺伝情報物質としてDNAを用いるすべての生物に必須お酵素であり,抗がん剤,抗マラリア剤,抗生物質などの標的酵素としても注目さている.本研究では部位特異的アミノ酸置換や構造ダイナミックスの解析などを用いて,種々の生物由来のDHFRの立体構造や構造安定性と酵素機能との関係を明らかにすることを目的として研究を進めている.