時空間発展化学研究グループ

担当:中田 聡

 

I.研究内容

1.自律運動系のモードスイッチング(←詳細はクリック)

動物は「動くモノ」です。生物のエネルギー変換は、地球上の環境と資源の循環の中で、等温条件で行われています。更に外からの刺激や環境に対して、自発的に運動様相を変化させて応答します。

生物系はとても複雑な要素とそれらのネットワークから構成されています。本研究室では、複雑な生物系から鍵となる要素を抽出し、あたかも生物のように振る舞う「モデル実験系」を構築することに挑戦しています。抽出された要素は単なる個々の部品ではなく、動的な流れの中で部品と部品の組み合わせで生まれるマクロな協同現象へと発展します。「モデル実験系」を用いて、生命現象のメカニズムや数理モデルの検証を行うことができます。

これがもし成功すると、自己診断ができるドラッグデリバリーや微小空間の欠陥検出と修理を行う夢のマイクロマシンができると期待されます。

 

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図1.生物のエネルギー変換と我々の研究との関連性

 

2.化学振動反応の光デザイン(←詳細はクリック)

水を入れた容器にインクを落とすと、インクは時間と共に広がります。これは熱力学の第二法則と呼ばれる現象です。つまり、最初が非一様(濃度に高低差があり)であっても一様(濃度が均一)になろうと進みます。しかし生物はどうでしょうか?丸い卵は卵割して我々は明太子になるのではなく、分化してヒトという形が作られます。熱帯魚のような体表模様や砂丘の風紋は熱力学第二法則では考えられません。

 本研究室ではリズムや模様を作る化学反応について研究しています。これらの現象を時空間発展現象と呼びます。実はリズムや模様は生物だけでなく、無生物の化学反応でも作ることができます。それらの謎を解明し、生物系の時空間発展現象との接点を明らかにすることを目的としています。

 

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        図2.熱力学第二法則と生命現象

 

3.味覚嗅覚に学ぶ化学センサ(←詳細はクリック)

これまでの化学センサは直流型、つまり1次元情報だけで様々な物質を識別してきました。ところが我々の化学センサである味覚・嗅覚は、神経細胞の興奮による電気インパルスの周波数、波形、変調など多くの時間軸情報を指標として、多数の化学物質やその混合系を分離することが可能です。本研究では、このような味覚・嗅覚に学ぶ化学分析システムを開発しています。

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図3.従来のセンサと味覚・嗅覚の情報変換の比較

 

4.シンクロナイゼーション(←詳細はクリック)

周期の異なる複数の振動子を結合すると、ある整数比で周期をそろえる現象を同調現象といいます。生物では同調現象を、概日性などの生活リズム、情報変換、歩行などの運動でうまく活用しています。ところが同調現象は無生物の化学反応系でも比較的容易に再現することが可能です。

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図4.同調現象いろいろ

 

5.皮膚のバリア機能に関する研究(←詳細はクリック)

 表皮が完全な閉鎖系又は開放系であるならば、生命体は存在することはなかったでしょう。環境に応じて柔軟に応答するには、適度な閉鎖系と開放系を持つ必要があります。そのためにも、皮膚のバリア機能は、高い非平衡開放系とみなしてよいでしょう。本研究室では、外からの刺激に対して応答時間の短い、「非ゲノム的作用」を理解するために、人工膜系を用いた研究を行っています。最近では、性ホルモンや単糖の効果について、資生堂との共同研究で成果を出しています。

 

図5.ゲノム作用と非ゲノム作用

 

6.その他の非線形現象(←詳細はクリック)

 

 

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