4.シンクロナイゼーション(同調現象)

4−1.塩水振動子

 直径1 mmの孔の開いた2つのコップにつまようじで栓をしてから塩水(濃度3 M)を入れます。それより大きい容器に水を入れ、2つのコップを容器に固定します。コップの塩水と容器の水の水位を同じくらいにし、つまようじを外します。すると、最初はコップから容器へ塩水が流れ落ちる現象が確認されますが、しばらくすると容器からコップに水が流れる振動現象が観察されます。ここで2つのコップにおける流れは逆相で同調するのですが、この同調現象をより再現させるには、容器の水面の表面積ができる限り小さくなるよう、フタをすることです。ポイントは、チャネルタンパクが存在しなくても、濃度差を駆動力として振動現象が生じることと、同調現象が見られることです。

図4−1.塩水振動子の同調現象の実験系(電極電位で測定する方法)

4−2.シンクロナイズドセーリング

 複数の樟脳船を1つの閉じた水路に同方向に浮かべると、シンクロしながら運動する現象が見られます。これは、1つの樟脳船から吐き出される樟脳膜分子をもう1つの樟脳船が感じて、個々の船間の位置が制御されるメカニズムで説明されます。船の数を増やすと渋滞現象が再現されます。つまり、車をたくさん試走させなくても、簡単な樟脳船で交通渋滞等の問題を解消するモデル実験になるわけです。

図4−2.場に依存した樟脳船の同調運動.

(左上)低温での位相差一定モード、(右上)高温での位相差振動モード

四角水路における、(左下)2辺又は(右下)1辺の長さの差を維持するモード

 

4−3.電気回路によるシンクロ

 化学反応系は制御が困難な場合がありますので、電気回路によって、制御する系についても研究をしています。図4−3のシステムは、化学反応による振動現象を同調現象で評価する新規な化学分析法のシステムで、特許も出しています。

fig7.tif

図4−3.半導体ガスセンサと電気化学センサとで構成される同調回路