遺伝子分身の術

このページのテーマは、これ!
遺伝子の鎖は、なぜ2本必要なのか?
遺伝子(DNA)は、どのようにして増えるのか?

助手 「本日のお客様も、しつこいようですがダン博士です。 本日もよろしくお願いします。」
博士 「押忍じゃ!」
助手 「さて、今日は何のお話をしてくださいますか?」
博士 「うむ。 今日は、顕微鏡を持って来たんじゃ。 ちょっと見てごらん。」
助手 「これは何ですか?」
博士 「これは、細胞というんじゃ。」
助手 「ふ〜ん・・・・・・」
キャー

博士 「ど、どうした?」
助手 「た、大変です博士。 細胞が割れてます。 さ、細胞君、死んじゃイヤ!」
DIVISION
博士 「あのー、本気で言ってる?」
助手 「???」
博士 「細胞というのは、分裂することにより数を増やしていくのじゃ。 われわれの体だって、そうじゃ。 われわれの体は、無数の細胞で構成されているのだが、もともとはひとつの卵細胞だったんじゃ。 この卵細胞が分裂を繰り返すことによって、こんなに複雑な体が出来たんじゃ。」
助手 「じゃあ、細胞が分裂するとき、遺伝子(DNA)はどうなるの? 細胞の中の遺伝子は、どんどん減っていくの? 細胞が2つに分裂したら、遺伝子は各々の細胞に半分ずつ入るんでしょ?」
博士 「いや、違うんじゃ。 どんなに細胞が分裂しても、各々の細胞が持つ遺伝子の量は変わらないんじゃ。」
助手 「博士く〜ん、算数はできまちゅか〜? 1割る2は、1じゃないでちょ〜?」
CHILD
博士 「よろしい。 今回は、遺伝子の複製について説明してあげよう。」
「前にも話したように、遺伝子は分裂後の細胞がどんなタンパク質を作るべきなのか伝えるために、細胞から細胞へと伝えられなくてはならない。 したがって、細胞分裂前の細胞と細胞分裂後の細胞は、同じ遺伝子を持っていなくてはならないのじゃ。 しかし、細胞分裂の時にそのまま遺伝子を分けると、分裂後の細胞が持つ遺伝子は半分に減ってしまう。 そこで各々の細胞は、分裂の前に細胞が持つすべてのDNAをコピーして、倍にしておくんじゃ。 そうすれば、分裂後もDNAの量は変わらないし、細胞の親子は同じ遺伝子を持つことが出来るじゃろ? 」

助手 「なるほどね。 DNAのコピーは、どのようにして作られるのですか?」
博士 「これが、実によく出来た仕組みなんじゃ。」
「DNAが自分のコピーを作ることを、DNAの複製というのじゃが、この複製にはDNAの二重らせん構造が非常に重要な役割を果たしておる。」

助手 「どんなふうに?」
博士 「簡単にいうと、複製の時にDNAの2本の鎖が離れて、各々の鎖が鋳型となって新しい鎖を作るんじゃ。 しかも、塩基対の組み合わせは常にAとT、GとCと決まっているから、複製後の2本のDNAは同じ塩基の配列を持つことになるんじゃ。 下の図を見れば分かるかな? そして、複製後のDNAの一方の鎖は必ず分裂前の細胞が持っていた鎖で、もう一方の鎖は新たに作られた鎖ということになる。 したがって、このような複製の仕方を、半保存的複製と呼ぶんじゃ。」
SEMI_CON
助手 「ありがとうございました。 では、また明日。」
博士 「ま、待ちたまえ! まだ終わっとらんよ。 これから、DNAの複製がどのように進むか説明しよう。」
「DNAの複製は、複製起点と呼ばれる特別な点から始まるんじゃ。 まず、複製起点の二重らせん構造がほどけて、そこから両方向に複製が始まる。 複製を行っているY字型の部分を複製フォークと呼ぶのじゃが、このような複製では、2つの複製フォークが複製起点から両方向に遠ざかっていくことになる。」

ORIGIN
博士 「この複製フォークで、新しいDNAの鎖を合成しているのが、DNAポリメラーゼという酵素じゃ。 このDNAポリメラーゼは、下の図のように鋳型のDNAと塩基対を形成できるヌクレオチドを5'から3'の方向に徐々につなげていく酵素なんじゃ。」
POLYMERIZE
助手 「3'から5'の方向へは出来ないのですか?」
博士 「出来ないんじゃ。 そこで、ひとつ問題点が生じてしまう。 複製フォークでは、DNAの両方の鎖が同じ方向に複製を進めなくてはならない。 下の絵でいうと、赤い矢印のようにじゃ。 つまり、一方の鎖は5'から3'の方向へ、もう一方は3'から5'の方向へ進まなくてはならないのじゃ。 ところが、DNAポリメラーゼは5'から3'の方向へしか進めない。 では、どうすると思う?」
助手 「ハ〜イ、複製をあきらめると思います。」
博士 「あきらめては、いかん! 実は、一方の鎖では不連続的に合成するんじゃ。 下の絵の青い矢印を見てごらん。 5'から3'の方向へ短いDNAが合成され、この短い合成が複製フォークの進行方向に不連続的に行われるということじゃ。 そして最終的に、これらの短い断片がつなげられて、一本の鎖となる。」
OKAZAKI
博士 「このような不連続的な合成の方法を発見したのは、岡崎令治という人じゃ。 だから、この不連続合成の時にできる短い断片を岡崎フラグメントと呼ぶ。 結局、DNAの複製をまとめると、下のアニメーションのようになっておるんじゃ。 もう一度、説明をよく思い出しながら、見てごらん。」
REP&DOC
博士 「最後に、もう一つ付け加えておこう。 複製の時にDNAの合成を始めるためには、プライマーと呼ばれる短い断片が必要なんじゃ。 DNA複製の時は、短いRNAがプライマーとして使われる。 RNAについては、”ただしいコピーの仕方(転写)”のページで詳しく紹介しよう。」
PRIMER
博士 「まず、RNAのプライマーが鋳型DNA上で合成され、そこからDNAが合成されていくんじゃ。 そして、最終的にはRNAのプライマーは取り除かれ、その部分も新しく合成されたDNAで埋められる。 上の図を見れば、理解できるかな?」
助手 「なるほど、ありがとうございました。 ところで、博士って人間ですか?」
博士 「・・・・」


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