遺伝子の複製

動物の発生は、父親の遺伝情報をもつ精子と母親の遺伝情報をもつ卵とが受精することによりスターとしまうす。受精卵は1個の細胞であり、これが細胞分裂を繰り返すことにより細胞数が増加し、動物の体が作られていきます。人間の場合、体重約60kgの人は約60兆個の細胞をもつといわれます。では、細胞数が増加する過程で、遺伝情報(DNA)はどのように細胞から細胞へと受け継がれるのでしょうか。

もし細胞分裂ごとにDNAを二等分して分配すると、分裂を繰り返して60兆個に等分する頃にはDNAは残っていないでしょう。実は、細胞は分裂する前にすべてのDNAを複製し、これを二等分しているのです。そうすることで、細胞分裂を繰り返しても細胞に含まれるDNAは受精卵と変わらないようになっているのです。

DNAを複製するのは、DNAポリメラーゼという酵素です。DNAポリメラーゼは、一本鎖のDNAを鋳型として、相補的な塩基配列をもつDNAを合成していきます。その合成方向は、5'→3'の方向です。DNAの複製は、DNAを構成する2本の鎖で同時に起こり、しかも全体として同じ方向に合成されます。ところがDNAの2本鎖は逆平行になっているので、DNAポリメラーゼは2本の鎖で反対方向にDNAを合成しなくてはなりません。では、どうしているのでしょうか。

まずDNAの2本鎖が解離し、それぞれが合成の鋳型となります。下のアニメーションのDNAでは、右から左へ複製が行われます。上の鎖では、DNAポリメラーゼは複製と同じ方向に連続的にDNAを合成できます。このようなDNA鎖は、リーディング鎖とよばれます。下の鎖では、DNAポリメラーゼは複製と反対の方向にDNAを合成することになります。そこで、短いDNA断片(Okazaki fragment)を複製と反対方向に合成し、この断片を複製方向に向かって返し縫いのように合成するのです。このようなDNA鎖は、ラギング鎖とよばれます。