広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻

専攻の概要

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数理分子生命理学専攻の概要

数理分子生命理学専攻は、生命現象に焦点を当て、生命科学・分子化学・数理科学の融合による新しい学問領域の創成と教育を目的として平成11年4月に全国に先駆けて設置されました。本専攻は生物系、化学系の実験グループと数理系の理論グループから構成され、生命現象に対し分子、細胞、個体のそれぞれのレベルでの多角的な実験的研究と、計算機シミュレーションや理論的研究によって、生命現象とその関連分野を多面的かつ統合的に解明していくことを目標にしています。

本専攻は生物系と化学系の研究グループが属する「生命理学講座」と数理系研究グループが属する「数理計算理学講座」の二つの基幹大講座および協力講座の「応用数理学講座」からなります。学生定員は博士課程前期23名、後期課程11名です。本専攻は幅広い分野からの学生募集をしますので、入学する学生は、数学、物理学、化学、生物学、薬学、農芸化学など様々な分野で学部教育を受けた者であり、生命現象の解明に対してもそれぞれ異なる視点や研究方法を持っています。そこで、博士課程前期では、学生が生命科学の諸問題や学際研究の重要性を認識するために、生命科学と数理科学に共通する入門講義、ついで、分子生物学、化学、数理科学の基礎を体系的に編成した専門基礎講義、さらに各研究グループによる先端的な専門講義を段階的に行います。また、学生に入学当初から各研究グループの第一線の研究活動に加わってもらうことによって新しい研究領域への理解と興味を促します。これによって、高い専門知識のみならず、多分野の知識の組み合わせや視点をかえて発展させる能力の育成を図ります。博士課程後期では、多面的な視点から創造的な研究活動が行えるように配慮し、独立した研究者としてこの新しい分野の発展を担うことのできる人材や高度な社会的ニーズに応えることのできる創造力のある人材の育成を目指します。

本専攻の目的の一つは、生命を統合的に研究していくと同時に、関係するいろいろな考え方や方法論を身に付けた若い人材を育てることです。生命に対して、広い視野をもって挑戦しようという意欲のある学生諸君の入学を期待しています。

数理分子生命理学専攻概念図


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数理分子生命理学専攻の組織

【生命理学講座】

生物は、遺伝情報に基づき形成され、さらに環境の変化や細胞内の状況に応じて生存していくために情報を処理し、それに基づいて物質を生合成・代謝する精緻な機構を備えています。本講座は、生物系と化学系のグループから成り、生命現象の基盤となる生体分子の構造機能相関の解明、さらに生体分子が階層的な集合体を形成することにより極めて効率よく行われる細胞情報の発現と伝達、物質変換と輸送、形質形成、環境応答などの研究や関連した分野の研究を行っています。

【数理計算理学講座】

生命現象などの複雑な自然現象を、深い洞察と認識をもって数理モデルとして表現し、これらを用いて数値シュミレーションを行います。得られる結果を体系的に解析して新しい理論的知見を積み重ねることにより、現象の数理構造と基本法則を見出してその理解を深めることを目指します。このために、現象解析に対して多角的・統合的接近法を用いる新しい科学的研究の枠組みを提示します。さらに、そこで重要な役割をはたす大規模計算機の信頼性と精度を保証する数値計算法を開発します。

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数理分子生命理学専攻の10年

数理分子生命理学専攻は1999年4月に創設され、今年で10周年を迎えました。節目の年に、その設立の背景と経緯について簡単に振り返っておきたいと思います。

20世紀は分子生物学的手法の発展により、生命体の基本となる遺伝子やタンパク質の構造・機能の解明が進み、分子レベルでの膨大な情報が蓄積されました。しかし、生命は構造的にも時間的にも高度な階層性をもった複雑なシステムであり、生命現象を理解するためには、分子レベルでの情報を統合的に整理・解析する数理科学的手法の導入が必要となってきました。このような境界領域の研究は、1990年代に研究者間では少しずつ始まっていましたが、生命科学と数理科学という異分野の融合には、若い研究者の育成が何より重要であるとの観点から、世界に先駆けて本専攻が設立されました。

専攻設立の経緯は、1993年4月までさかのぼります。この年、遺伝子科学独立専攻(生物科学科3研究室、旧物性学科1研究室、臨海実験所、植物遺伝子保管実験施設)が設立されましたが、その後の大学院重点化に向けた理学研究科の改組・再編の中で、遺伝子科学専攻を重点化拠点専攻に改組することになりました。上記の生命科学の流れを背景に、理学研究科に特化した生命科学として、「数理科学のphilosophyを理解できる生命科学者」、「生命科学のphilosophyを理解できる数理科学者」の育成を目標に、数理分子生命理学専攻を設立することになりました。

専攻の組織は、生命理学講座(生物科学科3研究室、化学科3研究室)と数理計算理学講座(数学科3研究室)に、応用数理学講座(総合科学部1研究室)を協力講座として10研究室(学生定員:前期23名、後期11名)でスタートしました。その後、協力講座は総合科学部の部局化にともない、数理計算理学講座に統合され現在に至っています。この間、ほとんどの研究室の教授は定年や転出により、第2世代へと引き継がれています。異分野間の融合ということで、設立当初は組織運営や教育カリキュラムで戸惑いもありましたが、構成員のたゆまない努力によりその障壁を乗り越えてきました。

本専攻では、これまで3回の公開シンポジウム(2003年8月、2006年8月、2009年9月)をとおして、その教育・研究成果の検証を行ってきました。2005―2006年度には、異分野間の教育システムが評価され、「魅力ある大学院教育イニシアティブ」に採択されました。引き続き2007―2009年度には「大学院教育改革支援プログラム」に採択され、明治大学と数理生命科学融合教育コンソーシアムを形成しています。龍谷大学・京都大学ともコンソーシアムを提携し、近隣諸国への拡大も目指しています。また、明治大学を拠点大学として採択された2008―2012年度グローバルCOEプログラムの協力専攻として、研究面でも大きな成果を挙げつつあります。

このように、本専攻はこの10年間、数理生命科学の教育・研究拠点として着実に発展してきました。これまでの基盤の上に、次世代の生命科学を担う人材の育成に向けて本専攻の更なる飛躍を期待しています。

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